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長友佑都 11年前

ビッグクラブとしての威厳を見せつけたインテル。大勝の口火を切った長友のアシストに迫る

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

先制点を生んだ長友とファン・ジェズスの連携

 ただ、攻撃的なチームが付け焼き刃の守備対策をしても上手くいかず、むしろ失点をきっかけに崩れていくのもまたこのリーグの常だ。それだけに0-7の敗戦に至るきっかけは前半7分の失点が作ったとも言える。翻って、鋭いサイドアタックからその口火を切ったということに、長友のパフォーマンスに重要な意味があったのだ。

長友佑都
長友のパフォーマンスに重要な意味があった【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 立ち上がり、長友のポジショニングは深かった。カターニア戦同様、4-3-3を敷くサッスオーロの前に4バック状で慎重に入ったのかと思われたが、それだけではなかった。

 相手はサイド攻撃の対策を練ってきたのだ。長友のサイドに昨季の僚友スケロットを張らせ、かつ右SBのガッゾーラには注意して裏のスペースを埋めさせた。「僕から距離を取ったり、逆にパスを出させないように近くに来たりした」と長友は言う。

 しかしその中、駆け引きの中で冷静にチャンスをうかがい、「相手が近くに寄ってきたら裏を抜こう」という意識をファン・ジェズスと共有させていたのだという。そして7分、ガッゾーラが不容易に長友に詰めてきた瞬間、ファン・ジェズスは裏のスペースへ正確なボールを出す。

 一瞬のダッシュで長友はガッゾーラを振り切り、正確なトラップでボールを納めると、スピードを落とさずにGKとDFラインの間にボールを流す。そこにはファーからパラシオが詰めて、ダイレクトでゴールへと押し込んだ。

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