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マンU不振の要因は前監督時代からの課題にあり。モイーズ監督の資質より問われるべき悲惨な守備陣

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

苦戦の要因はどこに?

 ここまでの苦戦は、何よりも、あっさりと失点してしまう守備に問題がある。第7節までに4試合で先制を許している最終ラインには、「要」が不在だと言ってもよい。いわゆる正CBコンビは、開幕から6試合ずつ先発している、リオ・ファーディンドとネマニャ・ビディッチ。

 だが、共に30代の両名には、全盛期のような信頼性がない。9月28日の第6節ウェストブロミッジ戦(1-2)では、ファーディナンド自身が、敵のカウンターに右往左往するだけに終わった。

 続く10月5日のサンダーランド戦(2-1)では、僅か5分で敵に献上した先制点に、ビディッチのクリアミスが絡んでいる。ユナイテッドの4バックは、リーグ最下位に、前半だけで3点を奪われていても仕方のない不安定さだった。

 元CBの顔も持つモイーズは、次節以降に向け、まずは4バックの引締めに取り組むはずだ。若手を実戦で鍛える勇気も持つ新監督としては、前監督も「将来のCBコンビ」と見ていた、フィル・ジョーンズとクリス・スモーリングを、最終ラインの中央で組ませる機会を増やしてもいい。

 当面はリスクを軽減したければ、昨季の段階でチームのCB陣では最も安定していた、25歳のジョニー・エバンズと、両若手のいずれかによるコンビをメインとする手がある。バックアッパーの印象が強いエバンズに頼ること自体が心許ないが、それがユナイテッド最終ラインの実態だ。

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