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マンU不振の要因は前監督時代からの課題にあり。モイーズ監督の資質より問われるべき悲惨な守備陣

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

昨季も苦労していた失点の多さ

 実は、昨季の今頃も、ユナイテッドは失点回避に苦労していた。リーグ前半戦19試合の内、3試合しか無失点で凌げなかった。

 前半戦だけで13得点を上げた新エース、ロビン・ファン・ペルシーのゴールが、守備面の苦しみをオブラートに包んでくれた恰好だった。これは、先のサンダーランド戦で、初先発を2ゴールで飾ったアドナン・ヤヌザイがスポットライトを独占し、パニック状態だったDF陣をその影に隠した事実と似ている。

 つまり、今季スタート失敗の元凶は、新監督下で表面化した前監督時代からの問題にある。対処に当たるモイーズは、自身のチームを作る礎として、まずは、その守備の問題を解消する能力とノウハウを持つ。

 その事実は、「信頼の置ける新監督がついている」と、改めて太鼓判を押した前監督が誰よりも認識している。また、同時進行で、ウェイン・ルーニーが調整の遅れを取り戻したに矢先にファン・ペルシーが故障するなど、噛み合い損ねたトップ下と1トップのコンビも威力を発揮し始めて然るべきだ。

 ユナイテッド指揮官としてのモイーズの「腕」と「色」が問われるのは、それからのこと。ファーガソンの復帰云々を話題にするには、まだまだ時期尚早だ。

【了】

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