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日本代表 10年前

オランダ戦で復活を印象づけるプレーを見せた香川真司 「正直、僕らが勝たないといけない試合だった」

text by 元川悦子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「必ずチャンスがあると思っていました」

 だが、ふたを開けてみると、背番号10は意外にもベンチスタート。左MFのポジションには清武弘嗣(ニュルンベルク)が先発した。彼らをベンチから見守った香川は、冷静に戦況を分析していた。日本は内田篤人(シャルケ)のバックパスを拾われてファンデルファールト(HSV)に先制され、ロッベン(バイエルン)の傑出したし個の力で2点目をもぎ取られても、そこまで悲観的にはならなかったという。

「前半の入りは決して悪くなかった。ただ、オランダみたいな相手にミスから失点すると主導権を握られやすくなる。それは痛かったけど、中盤から前はスペースがあったし、必ずチャンスがあると思ってました」という彼の観測通り、前半終了間際に大迫が追撃の1点を奪う。香川に出番が回ってきたのは、1点差に詰め寄った後半頭からだった。

「試合を見ながらプレーを判断しようと思ってましたけど、中でボールを受けて起点を作れていたんで、どんどん入っていこうという意図はありました。

 先月は戦いながら『ああしよう、こうしよう』と考えながらやっていたけど、今回は『点を取るためにプレッシャーをかける』『ゴールを取るためにシュートを打ちに行く』『飛び出しを増やす』というシンプルな考えでやろうと。気持ちの持ち方1つで試合が大きく左右される。自分は試合に勝つためにやるべくことをしっかりやる、自分を信じてやるというテーマでプレーしてました」と本人は高度な集中力でピッチに立ったことを明かす。

 その充実したメンタリティがパフォーマンスに直結した。本田のパスに飛び込んでヘッドを放った開始早々の6分の決定機、内田のパスを受けドリブルで相手をかわしてシュートを放った22分のチャンス、そして鋭くゴール前へ侵入した柿谷曜一朗(C大阪)に決定的スルーパスを出した33分の場面など、香川の一つひとつのプレーは異彩を放っていた。

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