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日本代表 10年前

日本はなぜ勝てたのか? ザックジャパン最大の武器が再確認出来たベルギー戦【どこよりも早い採点】

シリーズ:どこよりも早い採点 text by 植田路生

日本の目指すべきサッカーとは?

 また、切り替えの早さも見逃せない。これまではボランチがボールを奪うと、一旦後ろや横に出し、そこからゆっくり攻撃の構成をしていた。この日もそうだが、ボール奪取してから「縦へ早く」というコンセプトが統一されていた。

 長谷部は近くにいる味方に安全なパスを出すのではなく、前を向く努力(ターンなど)をし、それ以外の選手は彼がパスを出しやすい位置へ動いていた。ボールを奪う、そこからどうやって攻撃するか、のイメージが共有されていた。「守備のための守備」というネガティブな守り方ではなかったのだ。

 90分間、守備からすぐに攻撃へ、というのは体力的にはキツい。だが、日本の選手たちはそれが出来る。南アフリカW杯で証明されたように、日本はどの国の選手たちよりも走ることが出来る。「攻撃のための守備」がずっと続けられるのは大きな武器で、それを再確認したのは非常に大きい。

 細かい部分ではまだあるが、大きなところではこの2つだろう。以前から出来ていた前線からの守備を取り戻したこと、守備から攻撃の切り替えが早く90分間継続したこと。

 試合終盤には細貝萌、今野泰幸を投入し、守り切るプランも試すことが出来た。テストマッチとしても大きな収穫だ。

 ベルギー戦のように、90分間献身的に動き、インテンシティ(=気合い)の高さを保つことが日本の良さが最も活きるはずだ。それでも美しさは保つことが出来る。何本ものパスがつながった岡崎慎司のゴールがそれだ。

 試合後に本田圭佑が「まだ課題もある」と言っていたように、改善点は当然ある。だが、この日の日本は守備的だっただろうか。決してそんなことはないはずだ。極めて攻撃的で素晴らしいサッカーをしていた。これこそが日本のサッカーで、W杯へ向けて高めていく方向性は定まった。それがわかったことが何よりの収穫だろう。

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