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日本代表 10年前

二つの攻撃スタイルが見えた欧州遠征 ベルギー戦で日本代表が見せた「気の利いた」プレーとは?

先日行われた日本代表対ベルギー代表の一戦。立ち上がりからベルギーは日本の中央突破をしっかりケアしたが、香川真司のポジショニングで対応に苦慮するようになった。オランダのA級指導者ライセンスを保持する林雅人氏が分析する。

text by 川本梅花

ベルギーは日本の中央からの攻撃を最大限にケアした

二つの攻撃スタイルが見えた欧州遠征 ベルギー戦で日本代表が見せた「気の利いた」プレーとは?
ベルギーの日本に対する守り方

 日本のフォーメーションは1-4-3-3(あるいは1-4-3-2-1)で、守備の際は1-4-4-2になって柿谷曜一朗と本田圭佑が横に並んで、ベルギーのDF(ディフェンダー)にプレッシャーを掛けに行く。一方のベルギーは、1-4-3-3の中盤が逆三角形をとる。守備のときは、FW(フォワード)のルカクを相手陣内に残して、他の9人のフィールドプレーヤーは自陣に下がって守備をする。

 日本の攻撃戦術は、オランダ戦の後半に見せたようにピッチの中央で数的優位を作るというやり方。そのために、香川真司がピッチの中央にドリブルで入ってきて、本田や柿谷との距離を短くしてダイレクトパスの交換をして局面を打開していく。

 日本のCB(センターバック)やCH(センターハーフ)がボールをもってセンターラインに達するところでスイッチが入って、そこからダイレクトパスを使って中央突破というスタイル。とにかく、ピッチの中央で数的優位を作りたいという意図が見られる攻撃戦術だ。

 ベルギーは、そうした日本の攻撃スタイルを知っていて、サイドのスペースを捨ててもピッチの真ん中をケアしようとしてきた。おそらく、オランダ戦の後半に見せた日本の戦い方を見て、選手全員が真ん中に寄ってフィールドを絞ってきたのだろう。

 なぜ、そうした状況がわかるのかと言えば、オランダの右SBは香川がボールをもってピッチ中央に入ってきても香川について行かなかったのだが、ベルギーのSBは香川の動きについて行ってケアしようとしたからである。特に、ベルギーのサイドにいる選手は、香川へのマークの受け渡しに注意を払って、香川がピッチの中に入ってドリブルを仕掛けると、すぐに2人で寄せて進入を防いでいたのだ。

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