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Jリーグ 10年前

マリノスがJ1優勝を懸けて最終節に戦う川崎。要注意FW大久保嘉人はなぜ後半に得点を量産しているのか?

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / FootballChannel

しっかりイメージできている90分間のマネージメント

要注意FW大久保嘉人はなぜ後半に得点を量産しているのか?
「頭をフル活用できるか」と語る大久保【写真:工藤明日香/フットボールチャンネル】

 主な理由は風間八宏監督が掲げる方向性に大久保の持ち味がうまく融合し、90分の流れの中でフィニッシュにいたる攻撃をイメージできていることだ。ボールをつないで自分たちの主導権を握るのが川崎の基本スタイルだが、90分を想定すると2つのメリットがある。

 1つはボールを持つ側が相手を動かすことで、相手の体力を消耗させることができること。そしてもう1つは相手の守備時間を長くすることで、様々なチャンレンジの中から穴を見つけやすくなることだ。風間監督は後半に大久保が2得点して勝利した第31節の清水エスパルス戦後、こんなコメントを出している。

「自分達がゴール前まで持っていくことができれば、当然守備の時間も減りますし、受け身の守備をする必要がなくなる。その代わりに、うちのバロメーターはどちらかと言うと一番は頭の体力で、運動量というよりも頭をフル活用できるか、それを連続してできるかどうか」

 もともと思い描いていた攻撃が見事にはまり、前半の早い時間帯に得点を奪えるケースはあるが、今季の川崎は攻撃的でありながら、90分が終わった時にいかに相手より多くの得点を奪っているか、というイメージをしっかり描けていることがデータにも表れている。

 とりわけ大久保は相手ディフェンスとの駆け引きの中で、相手の穴を探りながら動き出しの位置とタイミングを見極め、周りの選手にも要求しており、試合後の話からもそうした意識を読み取ることができる。中村は大久保に関して「無駄に動かないでパスを受けてくれるから、こっちも出しやすい」と語っていた。

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