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日本代表 10年前

内田が回想。ザックジャパン、アルゼンチン戦の勝因。3年前から指摘されていた“シュート意識の欠如”

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

アルゼンチン戦の勝因となった戦術

内田が回想。ザックジャパン、アルゼンチン戦の勝因。3年前から指摘されていた“シュート意識の欠如”
内田篤人【写真:松岡健三郎】

 そんな中、迎えた10月8日のアルゼンチン戦。内田は右サイドバックに入り、中央の固めることを意識しつつ献身的な守備を披露。1−0の歴史的勝利に大きく貢献する。

「テベスが中にポジションを取って、左サイドバックのでかいやつ(エインセ)が上がってきたりしたから、オカちゃん(岡崎慎司)をこき使ったというか(苦笑)。自分がはテベスを見ないと中が数的不利になってしまうんで、オカちゃんには大変だったと思うけど、低い位置まで戻ってきてもらってよかったです。

 チームとして守りでは中を固めるという指示があったんで、サイドの選手は大変だったけど、スカウティング通り行ったというか、ハマりましたね。メッシが持ったら同じ土俵に立つなとも言われていたし、遅らせていこうと。ハーフタイムもこのまま行くと疲れるから、落とすところは落とそうと中盤に指示出していたんで、監督は確実な指示をするなと感じましたね。

 しかし、ホントに必死でした。つぶしてつぶして……。途中から阿部(勇樹)さんも入ってきてボールへのプレッシャー、メッシとかが持った時のつぶしの速さは尋常じゃなかった」と彼自身、アルゼンチンを破った興奮を抑えられない様子だった。

 ザック監督が強調していたタテへの意識を選手たちが実践し、岡崎の1点につなげたことにも、内田は手ごたえを感じたようだった。

 その直後にソウルへ移動。左足小指の状態は一進一退だったが、内田としては休むわけにはいかなかった。U−17、U−20、五輪代表、そしてA代表と全ての代表を経験している彼は韓国戦がいかに難しいかを熟知している。

「アルゼンチンに関しては僕らのやり方がハマったし、向こうもあまり工夫なく来たからラクだった。だからこそ、韓国戦の方が難しい。アルゼンチンは中に来たけど、ワイドに使ってくるだろうし、モチベーションも違うだろうし。ピンチが多いんじゃないかと思う」と試合前も警戒心を露わにしていた。

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