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アジア 10年前

“東南アジア版オリンピック”SEA Gamesにタイやインドネシアらの次世代を担う注目選手が集結

text by 長沢正博 photo by Masahiro Nagasawa

目につくタイの選手のスキルの高さ

“東南アジア版オリンピック”SEA Gamesにタイやインドネシアらの次世代を担う注目選手が集結
タイが2007年大会以来、14回目となる金メダルを手にした【写真:長沢正博】

 全体として、やはりタイの個々のスキルの高さが印象に残った。テーラトンは個人技に加え、プレースキッカーとしての能力も高い。2度の怪我で今シーズンをほぼ棒に振ったGKガウィンは恵まれたフィジカルに加え、安定したハイボールへの対処とシュートへの鋭い反応を見せ、東南アジアのGKでは頭一つ抜けた能力を持つ。

 一方、インドネシアの攻撃の核となったファンディは、相手に囲まれてもボールを失わないキープ力があり、運動量も豊富。ゲームメイクという点でも才能を見せた。サイドバックのディエゴも積極的な攻撃参加が光った。グループリーグで姿を消したミャンマーだが、17歳とは思えない落ち着いたプレーで中盤を支えたMFミンオも将来の楽しみな選手だ。

 このミャンマーは11月に大阪のJ-Green堺で10日間の合宿を行い、京都サンガやセレッソ大阪U-18らと練習試合をするなど強化に力を入れていた。本大会ではタイと引き分けるなど奮闘、勝ち点では2位インドネシアと並び、得失点差では上回ったが、直接対決の結果(最終節インドネシアが1‐0で勝利)を優先する規定のため、惜しくも4強に進めなかった。

 実は韓国人のパク・ソンファ監督はこの規定を知らず、敗戦後うなだれる選手の姿を見て異変に気付いたという。翌日に解任が発表されている。東南アジア全体としてもう一段階のレベルアップをするためにも、古豪ミャンマーには今後期待される経済発展と併せて、ぜひサッカーでもかつての輝きを早く取り戻してほしい。

 2023年の開催が予定されているカンボジアでは、10年後を見据えてアカデミーを来年1月に開校。ベガルタ仙台ジュニア監督の壱岐友輔氏をコーチに招くなど強化を進めようとしている。これからどんなタレントが東南アジアから現れるのか。次回のSEA Gamesは再来年にシンガポールで開催される。

【了】

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