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ポルトガル代表躍進のカギを握るクリロナ。得点力あるエースを1トップで起用しないワケとは?

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

“死の組”よりもハイレベルなG組

 中盤からディフェンスラインにかけても能力値は列強国とそう見劣りしないが、クラブで置かれている立場が微妙な選手ばかりで、ペペやファビオ・コエントランなど主力が本大会をどういった状態で迎えられるかは未知数だ。ただ、堅実なチャレンジ&カバー、ビルドアップ、上下動を行う彼らは簡単には新戦力に替えられない。

 それでも本大会に希望が持てるのは、ユーロ2012で絶賛された守護神パトリシオが良い状態をキープしているから。国内リーグのスポルティングに所属するが、ポジショニングからセービングまで全てが安定し、攻撃的なチームの最後尾を力強く防衛している。

 優勝候補のドイツに加え、全てのチームが前回大会で決勝トーナメントに進出したG組は、総合評価では全体の中でも最もハイレベルだ。ただ、“死の組”と呼ばれないのは、本命のドイツにほとんど隙が見当たらないから。よほどのことが無ければ残る1枠をポルトガル、ガーナ、米国で争うことになる。

 とはいえ、ドイツとの初戦においてポルトガルが試合の前から白旗をあげることはあり得ない。ユーロ2012でも初戦で激突しているが、ドイツのレーブ監督は試合前に「ポルトガルはいかなる相手も倒せるチームだ」と警戒した。結局1-0でドイツが勝利したが、枠内シュートはポルトガルの方が多く、終盤まで緊迫感のある試合だった。

 その後のチーム状態はドイツの方が上向いているのは間違いないが、当時の主力がそのまま現在のスタメンを担うポルトガルとしては、苦手意識なく戦えるはず。

 中盤の主導権はドイツに握られることが予想されるため、前線のスピードを活かしたカウンターが増えるだろう。その流れでロナウドが相手DFと1対1になる場面を作れれば高確率で得点を期待できる。

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