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日本代表 10年前

李忠成にとって試練の半年。アジアカップの輝きを再び取り戻すことができるか?

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

「絶対に合う部分はあるはず。信じてやっていけばいい」

 アジアカップに挑むザックジャパンのFW陣は前田遼一と李の2人。チーム発足直後のアルゼンチン・韓国2連戦に出場した前田がファーストチョイスで、李はサブからのスタートだった。

 9日の初戦・ヨルダン戦では前半終了間際にミスから失点したこともあり、指揮官は彼を後半から投入。最初のチャンスを与える。李は持ち前の貪欲さとガムシャラさを前面に押し出すが、五輪以来の代表戦ということで、かつてのチームメートである本田圭佑や香川真司、長友佑都らとの息が今一つ合わない。

 吉田麻也の劇的ヘッド直後のハイボールからのチャンスもコントロールミスし、決めきれない。彼が思うような見せ場を作れないまま、ゲームは1-1で終了する。

「最後の最後のところは決めたかった。そこがヒーローになるかならないかってところだったけど、今日はヒーローになる日じゃなかった。ただ、A代表デビューが45分間っていう長い時間だったし、後半の頭からだったから入りやすかった。

 相手が引いてきて難しい部分はあって、周りともなかなか合わなかったけど、絶対に合う部分はあるはず。信じてやっていけばいい」と李は努めて前向きにコメントしていた。

 だが、その試合はなかなか出番が回ってこなかった。1次リーグのシリア、サウジアラビア戦、準々決勝・カタール戦、準決勝・韓国戦と4試合連続でベンチに縛り付けられ、彼自身も悔しさと苛立ちを感じたにはずだ。それでもメディアの前ではそういう弱みを一切見せなかった。

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