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日本代表 10年前

李忠成にとって試練の半年。アジアカップの輝きを再び取り戻すことができるか?

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

「代表を終えた後にいろんな人の声を聞こうかなと思います」

「自分の役割はゴールしかない。憧れの日本代表戦に出たことで、最初の試合は気負いが出てしまったところもあったけど、ここから先は伸び伸びやれると思います。

 僕の場合、日本国籍を取得した選手ということで、いろんな人の期待を背負っている。在日韓国・朝鮮だとか、在日のアメリカの方だとかいろんな人がいるけど、そういう方々の可能性の部分を見せたいし、李という名前で出ても日本代表で活躍できるってことをゴールという結果で見せられれば一番いい。

 いちサッカー選手としてそういうことがついてくればいいんじゃないかと思います。もちろん賛否両論あって、自分が傷ついたり、応援されたりすることもある。だから、自分はそういう声をシャットアウトしてきました。

 今はサッカー選手として集中して、代表を終えた後にいろんな人の声を聞こうかなと思います」と複雑な環境を乗り越えて代表入りした選手として結果にこだわり続けることをキッパリと宣言していた。

 その強い決意のほどが結果となって表れたのが、29日のファイナル・オーストラリア戦での決勝点だ。延長後半4分に長友からのクロスを左足ダイレクトボレーで叩き込んだビューティフルゴールは、間違いなくザックジャパンを象徴する名場面の1つといっていいはずだ。

「サッカーの神様っていると思います。一生懸命やった結果ですね。ボレーシュートを打った瞬間も思い切りよくというのを心がけてました。トラップしたらトラップミスしちゃうだろうと直感的に思ったんで、もう振り切るってことだけを考えてました。

 佑都からクロスが来た時も、二アに行こうとしたら食いついてきたんで、待ったらフリーになった。あのまま行ってたら、たぶんDFと一緒にボール通過してたんじゃないかな。今日はヨルダン戦より落ち着いていたと思います」

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