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日本代表 10年前

香川が回想するザックジャパン。アジアカップで見せた眩い輝き、その後に続く不完全燃焼の始まり

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

「ゴールだけはよかったと思います。他は全然」

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香川真司【写真:松岡健三郎】

 そんな10番がようやく強い輝きを放ったのが、21日の準々決勝・カタール戦だった。前半から激しい点の取り合いになったこの試合で、日本は2度のリードを許し、吉田麻也が退場するなど、予想外の大苦戦を余儀なくされた。

 そのチームを香川が救う。0-1とリードを許した前半28分、香川→本田とつながり、岡崎がGKの頭を超すループシュートを放った。これを香川が押し込み、待望の大会初ゴールを挙げる。そして後半25分にも香川が同点弾を叩き出す。

 1-2の状況から、本田のスルーパスが岡崎とDFに当たって香川の前にこぼれ、これを確実に決めたのだ。さらに圧巻だったのが、終了間際の3点目。長谷部誠のシュート性のボールが香川に渡り、彼は鋭い動きでゴール前へ侵入。

 GKとDF2人に挟まれ倒されたが、最終的に詰めていた伊野波雅彦が決勝点を叩き出した。この日の香川はラッキーも重なったが、2得点1アシストと大爆発。これまでの鬱憤を晴らすとともに、ザックジャパンを準決勝へと導いたのである。

 だが本人は、「ゴールだけはよかったと思います。他は全然。ミスも多かったですし、動きの質も良くない。重たかった。4試合目ということで日程的にもきつかったんで、ゴールが唯一の救いかなと。

 ゴールは一番自分を落ち着かせてくれる。なかなか点決められなかったんで、ホッとしたのはありましたけど、内容に関しては全くだったと思います。結果はうれしいけど、自分のコンディションをもっと上げて、もっとやらないといけない。これがいい薬になるといいですね」と渋い表情を浮かべた。

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