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日本代表 10年前

香川が回想するザックジャパン。アジアカップで見せた眩い輝き、その後に続く不完全燃焼の始まり

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

「自分らしいサッカーがしづらいところはあります」

「ガツガツ来る相手に対して足先だけでは決して勝てない。イージーなミスが多かったり、どこか集中力が切れてたのを感じてる。球際だったり、簡単にミスしないところを求めていく必要があると思います。

 10番が重たいとは思わないですけど、主力としてこういう大会に出るのが初めてなんで自覚を持ってやろうという思いが強い。変にプレッシャーを感じずに切り替え、次の試合を意識してやっていくだけ。ただ、この2試合は全然納得いくゲームができてないし、パフォーマンスも圧倒的なものを見せられていない。不甲斐なさは感じます」と反省しきりだった。

 本田が欠場し、松井大輔もケガで離脱を余儀なくされた17日のサウジアラビア戦は、香川のトップ下起用が期待された。しかし実際にそのポジションに陣取ったのは柏木陽介。彼自身も多少なりと落胆はあっただろう。

 しかし右から岡崎慎司、柏木、香川という2列目の構成になり、香川は攻撃の大黒柱としてチームを牽引しなければならない。その自覚は感じられたが、岡崎がハットトリックを達成し、前田遼一が2点を叩き出して圧勝する中、彼はまたも無得点に終わった。

「積極的にゴールを狙ったんですけど、なかなかリズムが変わらなかった時間帯があった。相手も3点取られた後はやる気をなくしていて、雰囲気的に難しかったですね。ピッチも下が緩かったりして滑りやすいし、ボールがなかなかつきにくいし、足元足元では崩せない。

 自分らしいサッカーがしづらいところはあります。でももう3試合やってますし、言い訳にしかならない。自分も足元を意識しながら裏へ、前へという意識を高めたらいいと思います。

 チームも結果を残しているし、手応えはあるので、あとは個人的にもやるべきことをもっとやらなければいけない。点を取りたい思いはつねにあります」と香川は中東特有の環境への苛立ちとゴールに恵まれないことへの不完全燃焼感を吐露した。

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