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日本代表 10年前

香川が回想するザックジャパン。アジアカップで見せた眩い輝き、その後に続く不完全燃焼の始まり

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

「後半になると止まっちゃうのは自分としても感じる」

「今回みたいな引かれた相手、球際で頑張ってくる相手に対して、どうしても足先だけでは勝てない。ゴール前でもっといい形でボールを受けられるシーンを増やしていきたいんですけど、そこまでの余裕がまだないと感じます。

 それでも点が生まれたのは、ゴール前でボールを触れたことが大きかった。今まで3試合はそういう形がなかったし、前を向けて抜くところまで行ったのがよかったかなと。

 なるべく引かずに辛抱して頑張る時間帯、中に絞る時間帯とかメリハリ持ってやろうと試合前から思っていたけど、それができたのもプラスですね。チーム全体としてタテへの意識が強くなっていると思います」と前向きな手ごたえも感じつつあるようだった。

 そして25日の準決勝・韓国戦も壮絶なゲームとなった。香川の動きは目に見えてよくなり、前線で凄みを感じさせる場面も増えてきた。カタール戦の2得点での自信、中東の環境と左MFの役割への慣れが幸いし、エースの風格を垣間見せるようになってきた。

 だが1-1で迎えた後半終了間際、香川は細貝萌との交代を強いられる。その細貝の得点で2-2となり、PK戦の末に勝ちきったゲーム後には「今大会通してそうですけど、後半になると止まっちゃうのは自分としても感じる。

 前半はいい形のボール回しからフィニッシュまでいってたんで続けたかったけど、後半足が止まって、ラインが下がるというのは課題を象徴する部分かなと思います」とまたも顔を曇らせた。

 この時は本人もまだケガをしているとは思わなかったのだろう。ところが、翌日に病院へ向かったところ、右足第5中足骨を骨折していることが判明。2日後にチームを離れた。

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