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香川真司 10年前

連続欠場は体調不良、ノロウィルスか。チームメート、監督に愛されているマンU・香川

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

鈍っていなかった試合勘

 今年のイングランドは例年に比べ暖冬で、この日も気温は10度近くあった。香川の表情はそんな気候のようだった。あくまで陽気で暖かい。

 僕はこんな表情で、チームメートと談笑しながら、試合前のウォームアップをする日本人選手を見たことがなかった。もちろん、英語も上達したのだろう。しかし、こんなにプレミアのチームに溶け込んだ日本人選手は初めてだ。非常にリラックスして見える。

 20分ほど軽く体をほぐして、選手達が控え室へ戻り始めた。香川が引き上げようとすると、この試合で控えだったアンデルソンが日本代表MFの行方をさえぎるように、抱きとめた。そしてブラジル人MFは満面の笑顔で、二言三言、香川の肩を抱いたまま何かを伝えていた。

 キックオフ寸前には、トップ下に入ったギグスと入念に打ち合わせをしていた。その間、ギグスは腕を回して、オーバーラップ、もしくはポジション・チェンジを意図するゼスチャーを交えていた。香川も頻繁に何かを言い返している。とても久々というふうには見えない。

 確かに試合では、またもアシスト、ゴールといった明確な結果は残せなかった。後半24分でヤヌザイと交代。しかし、試合後の表情は柔らかかったという。

 今回はミックスゾーンでの取材は、僕の順番ではなかったので、直接、香川の様子は見ていない。しかし、「柔らかかった」という試合後の表情は、インタビューの音声を聞いても分かる。

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