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イタリア、オランダを抑えてのポッド1入り。スイスはW杯シード国としての戦力があるのか?

並み居る強豪を抑えてブラジルW杯のシード国入りを果たしたスイス代表。優勝の経験こそないが、その実力は本物だ。ヒッツフェルト監督に率いられたチームは守備力が健在で、攻撃陣には欧州強豪クラブでプレーするタレントが揃う。狙うはベスト8以上だ。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

鋭い仕掛け生み出す両ウィング

 2009年のU-17W杯を制した“黄金世代”台頭を推進力に、1954年大会から60年間も遠ざかっていたベスト8、さらに先の期待もかかるスイス代表。

 スロベニア、ノルウェー、アイスランドと同居した欧州予選の10試合で喫した失点はわずかに6と、4年前の初戦においてスペインを完封した守備力は健在だ。絶対的な守護神ベナーリオを後方の指揮官として、センターバックのフォン・ベルゲンとシェアがバイタルエリアをプロテクトする。

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オットマー・ヒッツフェルト監督【写真:Getty Images】

 参加国ではドイツのレーブに次ぐ長期政権(2008年6月に就任)となるヒッツフェルト監督が堅守をベースとしながらも、手塩にかけて育んで来たのは中盤の構成力。29歳と年齢的にキャリアのピークで本大会を迎える司令塔インラーをキャプテンに抜擢し、ボランチの相棒はウィングも担えるダイナモのベーラミを並べる。

 彼ら成熟したMFの前には “黄金世代”の旗手である左利きのジャカを配置。彼ら主力の3人に加えてジュマイリ、カサミ、バルネッタといった欧州有数の技巧派が控える中盤は現在のスイスが誇るセクションであり、列強国との試合でもポゼッションを意識しながら戦えるだけのクオリティを備える。

 攻撃の起点になるのは彼ら中盤だが、鋭い仕掛けで大きなチャンスを導くのはシャキリとシュトッカーの両ウィングだ。バイエルンで主に途中出場ながら、驚異的な突破力と高速クロス、さらにはカットインからのシュート力で違いを生み出しているシャキリは絶対的な武器だ。スピードでは左のシュトッカーも負けておらず、ツボにはまれば強豪のディフェンスにも脅威となりうる。

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