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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第8回 全国大会の切符をかけた大一番

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

7月7日 On the pitch 全国社会人大会関東予選決勝 クラブドラゴンズ戦

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第8回 全国大会の切符をかけた大一番
【写真:©VONDS市原】

 当日はとても暑い日だった。

 あとひとつ勝てば全国大会の切符を手にできる。その自分の思いとは裏腹にチームは前の試合のビックマッチに勝てたという安堵感の方が強く漂っていた。

 試合は早々に動く。相手の左SHの選手の単純な中央へのランニングからあっさり裏をとられ先制を許す。その後も危ないシーンが2度ほど続き、ゲームの入りは明らかに失敗であった。ゲームの入りが悪いという事に関しては指導者の責任は大きいと自分は思う。

 チームの雰囲気は当然、その時、その時で違うもので、それを敏感に感じ取り、どのくらい緊張感を与え、どんなことを徹底するかで流れは変わる。この日はそれがうまくいかなかった。

 相手の高い位置からのプレッシャーに対して、無理につなぎにいくことで、リズムを失っていた。2点目を与えてしまえば、修正は非常に難しくなる。相手の裏にボールを運ぶことを優先して悪い流れを断つようにした。

 地域リーグの試合ではまだ観客も少ないし、この日は流通経済大学のグランドだったこともあり、自分からの指示はしっかり選手に伝える事ができる。自分が流れを読み間違えなければ、修正はさほど難しくはないと考えていた。

 徐々に流れは変わっていき、前半のうちに同点に追いつくことができた。後半の10分には決勝点が生まれる。うれしかったのはここまで、少ない出場時間ではあったが、ずっと地道に努力を続けてきた岩田がスタメンで出場し、決勝点をとったことだった。

 その後斉藤、村山が得点を重ね、最後は失点を許したものの終わってみれば4-2の勝利となった。

 チームひとつの目標であった、長崎で行われる全国社会人大会の出場を決めることができた。

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