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本田圭佑 10年前

本田圭佑に足りないものは何か? ユーベ戦、ミランの戦術から見えた先発落ちの理由

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

なぜトップ下にポーリを起用したのか?

 1月の就任から4-2-3-1のシステムを用い、攻撃的なサッカーを打ち出してきたセードルフ監督だが、CLアトレティコ・マドリー戦とこのユベントス戦では、はっきりと志向を変えてきた。

 ただ攻撃的な選手を前に多く並べるだけに留まらず、この2試合では相手のサッカーを研究した上で、戦術的な攻略法も練った。その上で選択されたのがトップ下のポーリであり、両サイドのカカとターラブだったのだ。

 ユベントスの組み立ての柱は、ピルロやボヌッチから出される縦パスである。そのためには中盤で厳しくプレスを掛け、コースを切る必要がある。つまりピルロに張り付き、中央のスペースを埋め、攻守が切り替わった際には前へダッシュを掛けられる存在が必要で、そのための最良の選択がポーリだったということだ。後半早々、その彼が負傷した際にも、走れるサポナーラを入れている。

 一方攻撃において、ミランは両サイドを徹底して攻めた。3バックを敷くユベントスはWB一人がサイドを担当するが、これに対しMFとSBを配置出来る4-2-3-1ではサイドで数的有利が確保出来る。そしてそこを、速攻主体で突く。

 右では好調のターラブが強気に仕掛けてチャンスを作り、決定機ではミスの多かったカカも、懸命に走ってエマヌエルソンとボールを繋いで前へ運んでいた。

 こうしたプレスからの速攻という一連の流れを、ユベントス相手に対しては徹底して行わなければならなかった。現状、ユベントスはイタリアで最もプレスが強力で、攻守の切り替えも速い。それを封じるためにひたすら走り、数多く速攻を仕掛けることが必要となり(俗にいう「インテンシティの高さ」とはこのことを指す)、さもなくば逆にやられるのだ。

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