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日本代表 10年前

クラブで不遇、苦境に立つ日本代表のWエース。香川真司と本田圭佑に活路はあるのか?

text by 植田路生 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ファーガソンは香川を“使えていた”

クラブで不遇、苦境に立つ日本代表のWエース。香川真司と本田圭佑に活路はあるのか?
アレックス・ファーガソン【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

“わかりやすい”スタイルは悪い意味で安定をもたらした。ランキングテーブルでは6位や7位を行ったり来たり。単純にクロスを上げるだけの攻撃パターンは実に守りやすい。強豪相手には軒並み敗れ、格下にはポロポロと取りこぼした。そう、かつてのエバートンのように。

 ファーガソン時代もいわゆるイングランド流のオーソドックスタイルで戦うことはあったが、“サー”はわきまえていた。守備に難のある下位チーム相手にはポゼッションのできるメンバーで挑み、確実に勝ち点を稼いだ。

 香川はそういう意味でも効果的に使われた選手だった。ユナイテッドがポゼッションする展開であればスペースでボールを受ける香川は活きた。ノリッチ戦のハットトリックが象徴的で、ウェイン・ルーニーとのコンビネーションで崩す場面はしばしば見られた。

 ところが、モイーズ体制でのサッカーは一本調子であるため、スタイルにハマらない選手は居場所をなくす。香川には豊富な運動量とDFのような守備力が要求され、輝きを失った。現在、同じ苦しみを味わうマタをベンチから見て、香川は何を思うだろうか。

 一方の本田の所属するACミランは、ユナイテッドよりも状況は厳しい。緊縮財政によって年々戦力は低下。マッシミリアーノ・アッレグリ監督はそれでもCL圏内を死守し、競争力を維持してきたが、今季ついにタガが外れた。

 CLでは決勝トーナメントに進出したが、セリエAでは低迷。CLはおろかヨーロッパリーグ(EL)圏内すら難しい順位で、1月、クラブはアッレグリを解任。かつての“10番”クラレンス・セードルフをブラジルから呼び寄せた。

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