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日本代表 10年前

クラブで不遇、苦境に立つ日本代表のWエース。香川真司と本田圭佑に活路はあるのか?

text by 植田路生 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

リンクマンとして優秀な香川だが…

 ユナイテッドとミラン、両チームともチーム状態が悪く、特に連携面に問題を抱えている。長期的に考えれば、改善するには粘り強くチームメートとコミュニケーションし続け、連携面を向上させるほかない。

 だが、時間はない。W杯までは3ヶ月を切っており、またそれとは別に欧州リーグは動きが激しい。結果を出せない選手は放出、あるいは干される可能性もある。香川に関しては、モイーズ監督である以上チームを出た方がいいように思えるが、W杯まで出場機会がないことは避けたい。チーム内での地位を上げていくしかない。

 香川と本田、二人に活路はあるのだろうか。短期間で劇的に状況を変えるにはウルトラCが必要だ。やはりここは、エゴイスティックにプレーしていくほかないのではないかと思う。

 二人とも我が強い選手ではあるが、海外ではそうでもない。むしろ献身的で非常に協調性がある。もちろんこれは彼らのポジティブな面で、日本代表ではそれが良い作用を生み出しているが、現状のチームでそれらは活かされていない。

 香川は相手守備陣を崩すためのリンクマンとして機能すると抜群にチームを活性化させるが、ユナイテッドの選手たちは誰も香川を見ていない。スペースを埋め、パスワークのつなぎ目になっても、多くの選手がクロスを待ち構えるようにペナルティエリアの中にいては、香川のポジショニングは無意味だ。

 いくらフリーになってもユナイテッドの選手たちはサイドへ展開することばかり考えているため、香川は無視され続けている。ボールが渡ったときも、3人目の動きがまるでないため、香川も出しようがない(香川がバックパスで戻しても、選手たちは意味がわからずそのまま香川に返している場面も多い)。

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