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日本代表 10年前

今野泰幸が感じたアジアと強豪国との差。「もっと精度を上げない世界には勝てない。上で勝負はムリ。下でつなぐしかない」

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「ドゥンガが監督だった時とは全く違っていたし、ブラジルらしくない感じ」

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決勝点を挙げた今野【写真:Getty Images】

「よく走りました。自画自賛です」と今野はしてやったりの表情を浮かべて話を始めた。

「最後のドリブルは持ち上がった時にフリーで、後ろから追いかけてきているのも分かってましたけど、その人が諦め気味になってくれた。ドフリーになってどうしようかと思った時、真司が中に入ってくれてDFが食いついた。そこで右を見たら長友がいたんで、すごい出しやすかったですね。スルーパスは出しやすかった」と会心の勝利を喜んだ。

 ただ、猛攻を受けていた前半の戦い方に課題が残されたのは確か。世界の強豪に名前負けしないためにも、最初から勇気をもって押し上げていくことが求められた。フランスからポーランドへ移動する間、選手たちはそのことを繰り返し再確認し、4日後のブラジル戦に備えた。今野はフランス戦での負傷を抱え、2戦目の出場が危ぶまれたが、何とかピッチに立つことができた。

 本田圭佑も復帰し、序盤は日本らしい積極的な攻撃が見られた。が、ブラジルは今野が長年、思い描いていたような主導権を握って攻め込むチームではなく、カウンターからゴールを狙う集団に変わっていた。

 開始12分のパウリーニョの先制点も内田篤人のクリアミスを拾われて奪われたもので、その後の追加点もほとんどが日本のミスを巧みに突いてゴールに遅いかかる形だった。0-4の大敗というのは今野の予想をはるかに超えたスコアだったが、それ以上にブラジルの試合巧者ぶりに度肝を抜かれたという。

「日本の方がじっくりビルドアップしていて、日本の方が守る時は守るし、早く来る時は4人で一気に来るという形だった。規律がしっかりしていて、カウンターのスピードも速い。ドゥンガが監督だった時とは全く違っていたし、ブラジルらしくない感じで、僕らがやろうと狙っていたことをやられてしまいましたね」

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