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日本代表 10年前

今野泰幸が感じたアジアと強豪国との差。「もっと精度を上げない世界には勝てない。上で勝負はムリ。下でつなぐしかない」

ザックジャパンにとって大きな収穫となった2012年の欧州遠征。フランスには辛勝し、ブラジルには惨敗。DFの主軸である今野泰幸はアジアとの差を感じたようだ。W杯に向けて、何をすべきなのか。

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「日本代表がすごい滑ってるのに、フランスの選手たちは全然滑ってない」

 ジーコ時代の2005年東アジア選手権で日本代表デビューを飾り、オシム・岡田ジャパン時代もコンスタントに代表メンバーに名を連ねながら、2010年南アフリカW杯は大会直前の負傷でデンマーク戦に途中出場しただけで終わった。

 その悔しさと不完全燃焼感を胸に秘め、2010年秋に発足したザックジャパンでは守備の要として吉田麻也とともに最終ラインをコントロールしてきた。

 その今野にとって世界レベルを改めて体感する絶好の機会となったのが、2012年10月のフランス・ブラジル2連戦だった。「南アの前にイングランドとコートジボワールとはやってますけど、これだけの相手とやるのは初めてに近い。

 日本のいいところは全員攻撃全員守備。全員で組織的にチャレンジ&カバーすることを徹底して、1人が抜かれてもまた次が行けるような距離感を保たないといけない」と彼自身の中では強豪と対峙するイメージがある程度、出来上がっているようだった。

 サンドニでのフランス戦は0-5で惨敗した2001年3月のゲーム以来。序盤15分間で3失点し、松田直樹や楢崎正剛、中村俊輔らが呆然としたあの一戦を、今野は脳裏に焼き付けているという。

「俺、あの試合が好きで、何十回も見たんです。日本代表がすごい滑ってるのに、フランスの選手たちは全然滑ってない。あれは一体、何だろうと。技術の高さ、崩しのイメージ含めてあの時のフランスは好きでした。

 昔と今がどう違うかはよく分かんない。選手も違いますからね。自分としては、8~9月の3試合に出ていなかったし、すごく新鮮な気持ちで今、ここに来てますけどね」と彼は憧れの相手との対戦を心待ちにしていた。

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