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アジア 10年前

欧州で活躍、日本とも激闘。豪州史上最強の選手・キューウェルの引退が意味する“黄金世代”の終焉

text by 植松久隆 photo by Getty Images

新たなリーダーは生まれるのか

 しかし、キューウェルが去り、そして、それに遠からぬ将来にケーヒルが続くと考えるとき、サッカルーズの次のリーダーシップを担うべき世代に、これといったスター選手が表れてこないのには少し不安にさせられる。

 キャプテンシーとしては、数少ないプレミアリーグの現役選手であるミレ・ジェデイナク(クリスタルパレス)、日本でもお馴染みのマーク・ミリガン(メルボルンV)等がいるが、いずれも守備的な選手で、こうは言っては悪いが、正直華に欠ける。

 攻撃の次代の中心となるのは、ロビー・クルーズ(レバークーゼン)であるのは間違いないが、ケガで今回のW杯を棒に振り、「サッカルーズ次代のエース」を襲名するチャンスを逃したのは痛い。

 キューウェルという一世を風靡したレジェンドが静かにピッチを去るのを見届けた今、豪州の次代のリーダーを輩出するであろう新たな“黄金世代”の出現を待ちながら、豪州番稼業はこれからも続いていく。

 豪州サッカー事情を切り取ってお届けしている身としては、豪州サッカーのレジェンドの功績をきちんと顕彰しておかなければならないので、本稿をもってハリー・キューウェルという偉大な選手へのトリビュートとしたい。

【了】

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