まるで“アル中”、代表弱体化の要因か。サッカーの母国イングランドの常軌を逸した飲酒文化

2014年04月13日(Sun)14時12分配信

text by 斎藤史隆 photo Getty Images , Kazhito Yamada / Kaz Photography
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「デンティスト・チェアー」という“遊び”

 飲酒とサッカー選手に密接な関係が生まれてしまったのか。理由は複数指摘されている。選手には自由な時間と金銭があり過ぎるといった見方があるが、最大の問題はアルコールの弊害について盲目だったいうことだろう。

 しかも、大量に飲めるのは男らしいといった前時代的な雰囲気が幅を利かせていた。クラブ側もチームの団結を図るために選手が飲みに出かけることを積極的に後押しした。

 1950年代にロンドンのイーストエンドで生まれた人に逸話を聞いたこともある。60、70年代の青年期、パブに行くとウェストハムの選手と出くわしたことが頻繁にあった。

 当時のチームにはボビー・ムーアやマーティン・ピーターズといった96年のイングランドのW杯優勝に貢献した選手が在籍していたが、彼らと夜遅くまで飲んだことが何度もあったという。

 しかも、クラブから飲み代が支給される場合もあったため、誰もがおこぼれに預かることができた。そういったことが日常化していたということだ。

 もちろん、飲酒文化が常に放置されていたわけではない。例えばマンチェスター・ユナイテッド。86年に監督に就任したアレックス・ファーガソンはマグラース、ホワイトサイドら、度を超えた飲み方をする「ドリンキングチームのレギュラー」を次々と放出していった。

 とはいえ、飲酒文化は簡単に根絶されはしなかった。90年代に入っても飲酒の問題はたびたび表面化した。中でも有名な事件は地元開催になったEURO96の直前に発生した一件であろう。

 地元開催での大会直前、イングランド代表の一行は香港遠征を行ったが、始まって数日後には選手の醜態がタブロイド紙の一面を賑わすことになった。

 通称「デンティスト・チェアー」。歯科医で治療を受ける時、患者は椅子に仰向けに座りながら口を開ける。選手がやっていたのは治療ではなく、開いた口に酒を流し込むという遊び。

 想像してもらいたい。例えば日本代表がブラジルW杯開幕を目前にした時期、盛り場で酩酊状態になりながら盛り上がっていることが明らかになったら、日本のファンはどう考えるのか。

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