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まるで“アル中”、代表弱体化の要因か。サッカーの母国イングランドの常軌を逸した飲酒文化

text by 斎藤史隆 photo by Getty Images , Kazhito Yamada / Kaz Photography

典型的な飲酒クラブを変えたベンゲル

 レイ・パーラーは遠征先の香港で酔ってタクシー運転手に暴行をした。そのほか、ナイジェル・ウィンターバーン、スティーブ・ボールドといった選手も飲酒絡みで騒動を起こしていた。

 2年前までベンゲルの片腕としてアシスタントコーチを務めたパット・ライスは変化について次のように振り返る。

「ベンゲルが来る前、試合の後は飲みに行くことが多かった。選手は試合が終わった後、ビールなど酒類ならばなんでも置いてあった選手用のラウンジに向かった。でも、ベンゲルが監督になった途端、それは終わった。控え室の近くにアルコール類は消えた。加えて適切な食事を心がけるようになった結果、一部の選手の現役生活が伸びたのは間違いない」

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アンディ・キャロル【写真:Getty Images】

 アルコール問題について対策がとられるようになったのは過去15年ぐらいの話である。若手選手の育成の時には飲酒の弊害などの教育が行われる。ピッチ上でのプレーよりも街中での武勇伝で名を馳せる選手が確かに少なくなった。

 しかし、完全に撲滅されたわけではない。近年も飲酒問題についての話題は表面化する。マンチェスター・シティのマイケル・ジョンソンはイングランドU-21代表に選出されるなど、将来を嘱望されていたが、一昨年、アルコール依存症で現役引退に追い込まれた。

 今はウェストハムに所属するアンディ・キャロルに「お前は酒量を減らさなければ代表に呼ばない」と要求したのは前イングランド代表監督のファビオ・カペッロだ。

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