【W杯直前ルポ】日本戦会場含む4つが未完成、深刻な工事遅れ。無視できない日韓大会から続く派閥争いの余波
開幕まで50日を切りながら、未だに4つものスタジアムが完成していない。“怠慢”とも取れるブラジルの対応の原因は日韓W杯の頃から始まった派閥争いにあった。
2014年04月29日(Tue)8時00分配信
4つのスタジアムが未完成。日本対コロンビアの会場も完成せず
W杯開幕まで50日を切った――。
ブラジルのスタジアムを視察した国際サッカー連盟(FIFA)事務局長のジェローム・バルケは「まだまだやるべきことが山積みだ。もう一秒足りとも無駄にできない。それでもW杯が終わったときには満足した結果になっているだろう」と語った。
ブラジルの地元紙はバルケの表情には“諦め”の色が浮かんでいたと描写している。バルケの気持ちも理解できる。未だに4つの新設スタジアムが完成していないのだ。
サンパウロのアレーナ・コリンチャンス、クリチーバのアレーナ・バイシャーダ、クイアバのアレーナ・パンタナウ、そしてポルト・アレグレのベイラ・リオ――。
この中の一つ、アレーナ・パンタナウは日本代表のグループリーグ3試合目、コロンビア戦が予定されている。このスタジアムは未だに1万5000個の座席が設置されていない。当初の完成予定よりも17ヵ月遅れているのだ。
バルケはこのスタジアムについて、「5月5日までに座席を設置しなければならない」と言及している。アレーナ・パンタナウではこの土曜日にブラジル全国選手権二部の試合が行われた。未完成のままW杯前の「最終テスト」が始まっている。
日本の人々にとって理解できないのは、W杯開催は以前から決まっていた。どうして直前までスタジアムが完成しないのか、ということだろう。
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