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45歳の早すぎる死、悲しみに包まれたスペイン。誰よりもバルサに尽くした男、ティト・ビラノバ

text by 山本美智子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Rafa Huerta

クラブに尽くしたティト

 ティトは自らの病気のことも、手術のこともジョルディ・ロウラにすら明かさなかった。当時、ロウラはティトの第二監督であり、マシア時代から30年来の友情を培ってきた誰よりも近しい友人だった。

 その時のことをティトは一度だけ後から振り返っている。

「誰にも言わなかったのは、余計なことで選手を悩ませたくなかったから。ああ、もう手術は始まっているかなとかうまくいったかなとか、大事な一戦の前に気を紛らわすようなことがあって欲しくなかった」

 ティトの生涯は一時が万事、この調子で自分は二の次、クラブがバルサが常に先にあった。

 今回緊急入院し、そのまま病院で回復することなく息を引き取ったが、バルサのバルトメウ会長はその数日前までティトと電話で話しており、ティトがバルサの行く末について、ここは直さなければいけない、自分がここの部分を手助けしようかと会長にアドバイスや提言を行っていたことを明かした。

 ティト本人が「病気は私自身のものだ」とプライベートであることを宣言し、報道を極力控えるよう表現していたため、地元のマスコミもその意を汲んでずっと報道を避けていたが、病が進行していることは漏れ伝わっていた。

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