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アジア 10年前

小野伸二、豪州ラストゲームは悔しい敗戦。現地に浸透した「Shinji Ono」、築いた確かな功績

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu , Nichigo Press

地元ブリスベンを狂騒状態にしたロア

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試合直前のマーチ・インで気勢を上げるロア・サポーター【写真:Taka Uematsu】

 敗戦に打ちひしがれるWSWが去ったブリスベンには、Aリーグ前人未到の3回目のファイナル制覇を成し遂げたロアのオレンジ色の歓喜が残った。

 サンコープ・スタジアムと“シティ”と呼ばれる中心街を結ぶ一角のパブには、試合直後から祝杯を挙げるロア・サポーターのオレンジで染まった。

 何も、試合後だけではない。この日を迎えるまでの数日間のブリスベンは、さながら“オレンジ革命”とも言うような狂騒状態にあった。

 ブリスベンの街のあらゆるところでロアが話題となり、日頃はサッカーなどほとんど触れないラジオの人気パーソナリティが電話ゲストのロアの選手に他愛の無い質問をぶつけるようなシーンも聞かれた。

 前売りチケットは、先行販売を経て一般販売が始まる時には、わずか8,000枚しか残っていないという驚異の売れ行き。当然ながら、当日のスタジアムは51,153人の満員札止めとなった。

 スタンドの8割以上はオレンジを身にまとったロア・ファンで埋まり、多くのファンがブリスベンのおらがチームの応援に声を枯らした。

 そんな声援に後押しされたチームは、劇的な展開での勝利で満場のファンに応えて見せた。WSWに先制点を許すも、後半の土壇場で追いつき試合を振り出しに戻すと、延長戦の後半で勝ち越し点を挙げての勝利。さながら“ブリスベン劇場”ともいう展開に、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。

 試合直後のピッチでも、シーズンを通して攻守に大活躍だったDFイヴァン・フラニッチが感極まってピッチに突っ伏して男泣きに泣くなど、喜びが様々な形で爆発した。

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