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躍進のアトレティコと激動のバルサ。対照的な両チームによる優勝争いは最終節・直接対決で決着へ

text by 山本美智子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

バルサの“ポゼッションサッカー”を無力化させたシメオネの“ダイレクトサッカー”

 さて、残った二強のうち、現在首位を走っているのはアトレティコ・マドリー。元々アトレティコは、スペインリーグの中でもそのサポーターの熱さにおいては1、2を争うクラブ気質がある。

 元キャプテン時代から、モチベーターとして能力が高いチョロ・シメオネが監督としてベンチに座ってから、現在までのアトレティコの飛躍は今となっては周知の通りだろう。今季のCL決勝は、アトレティコ・マドリー対レアル・マドリー戦であることを鑑みても、アトレティコが既にスペインの枠に収まらず、欧州レベルでの成功をおさめていることは火を見るより明らかだ。

 一方、勝ち点3差で追うバルセロナだが、今季はシーズン最初からプレシーズンの最中にティト・ビラノバからタタ・マルティノへの監督の変更、その後メッシ、プジョル、バルデス、アルバと次々と主力の選手が負傷した他、ネイマール騒動によるサンドロ・ロセイ会長の辞任、シーズン終盤のビラノバ逝去、とこれ以上、何が起きるのかという激動の一年を過ごしてきた。

 サッカー面で言えば、アトレティコとバルセロナは今季5回戦っているが、バルサは一度もアトレティコに勝利することができずにいる。それも、毎回圧倒的なポゼッション率を誇りながら、バルサの求めるスピーディで正確なパスをベースにしたポゼッションサッカーが、シメオネの追求するダイレクトサッカーの前に通用せず。

 グアルディオラからスタートし、スペイン代表が流行を作ったここ数年主流のパスサッカーコンセプト自体に疑問を突きつける様相も見せている。

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