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一時は3部でプレーもリヴァプールへ移籍、W杯メンバーにも選出。“弱冠32歳”ランバートのシンデレラ物語

text by 山中忍 photo by Getty Images

マーク・ヒューズを彷彿。屈強ながら「タッチの良さ」が最大の魅力

 一方、移籍先のリヴァプールは、ブレンダン・ロジャーズ監督が繋いで攻める姿勢を徹底している。

 だが、そのロジャーズが「古典的なイングランド人CFと思われているかもしれないが、最も洗練されている選手の1人だ」と言っているように、ランバートの能力はポスト役の域を越える。

 最大の魅力は、獲得を決めた指揮官が「多彩なフィニッシュ」や「名人級のPK」に先立って挙げた「タッチの良さ」。3月のトッテナム戦で、足裏を含む3タッチで相手DF2名をかわしてスルーパスを送り、アダム・ララナのゴールを演出したシーンは記憶に新しい。

 ランバートのプレーを見ると、しばしば、同じ32歳でチェルシーに移籍したマーク・ヒューズ(現ストーク監督)を思い出す。屈強なヒューズは、難なく強烈なボレーを決める名フィニッシャーだったが、周囲を生かせるストライカーでもあった。

 忘れ難い記憶の1つが、97年のFAカップ戦でリヴァプールからの逆転勝利を可能にしたパフォーマンス。胸トラップ後のターンからゴールを決めて反撃の口火を切ると、ルースボールを競り勝ってジャンフランコ・ゾラに繋ぎ、即座に相手DFを引き付ける動きで同点シュートのコースを空けた。

 リヴァプールでのランバートにも、スティーブン・ジェラードが放つ矢のようなラストパスをコントロールしての得点シーンはもちろん、的確かつ巧妙なキープとリンクアップで、2列目のフェリペ・コウチーニョやラヒム・スターリングらに得点機を提供する姿が容易に想像できる。

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