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なんと選択肢は“7ヶ国”。無名の存在からついにW杯へ。マンU若手ヤヌザイの激動の一年

text by 桑村健太 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Asuka Kudo / Football Channel

ベルギーで先発の座をつかむ可能性はあるのか?

 さて、いよいよ12日からサッカーの祭典が幕を開ける。以前にも記した通り、ベルギーのサッカーは堅守速攻のスタイルである。最終ラインと中盤で2ラインを敷き、驚異的な鋭さを誇るカウンターで幾多の難敵を撃破してきた。

 おそらくだが、ヤヌザイが今大会中に先発の座を勝ち取るのは難しいだろう。なぜなら、ベルギーの主力はほぼ固定されているからだ。前線にはエデン・アザールやドリス・メルテンス、ケヴィン・ミララスといったスピードが武器の選手が揃っており、カウンターアタックこそ彼らが得意としてきた得点パターンなのだ。

 では、そんなヤヌザイに期待されるものは何だろうか? それは、膠着した試合に変化を加えることのできるその創造性であろう。多様なタイプを揃えるベルギーだが、このタイプの選手だけは唯一見当たらず、カウンター以外のオプションを考慮する上でも彼のようなタイプは貴重なジョーカーとして機能するはずだ。

 この1年間、ヤヌザイほど劇的に環境が変わった選手もそういないだろう。あの夏、我々が日本で見た無名の背番号44は、今では強豪ベルギー代表の一員に選出されるまでに成長した。

 代表選択という大きな決断を経て、ヤヌザイは一歩一歩スターダムへとのし上がろうとしている。このW杯が彼の大会になる可能性は低い。しかし、このW杯が彼の今後を占う意味でとてつもなく大きな意味を持っていることだけは、間違いない。

【了】

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