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試合分析のプロに聞くコートジボワールの弱点。日本はどう攻略すべきか?

初戦の相手コートジボワールはどのような特徴を持つのか。実際の試合映像から読み取れる情報とは。オランダ・フィテッセのユース、トップ部門で、スカウティングを担当してきた指導者・林雅人氏に、プロとしての視点で対戦国の映像を分析していただいた。(『フットボールサミット第21回 遠藤保仁、W杯を語る』より)

text by 浅川俊文 photo by Getty Images

攻撃にはかなりの癖。組織的な崩しはあまりない

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【図1】中盤で3対2の状況を作ろうとするコートジボワール

――コートジボワールの分析についてお聞きしたいと思います。対象試合は3月5日、ベルギーとの試合です。

「ベルギーの場合は分かりやすくて2トップで、中盤の二列目は左右に2枚、中央に2枚、後ろは4人。コートジボワールも後ろは4人で、MFは流動的なんですけど、前は3人です。

 ベルギーの守備は少し引いて待ち構えていて、一方、コートジボワールはSBがすごく高い位置を取る。ヤヤ・トゥーレがスルスルと下がってきて、中盤でベルギーの守備的MFに対して3対2の状況を作ろうとする。

 ベルギーはMFの守備が前目ですが、ボールが動いたときに2列目のMFは来るのか来ないのか。来ないので、中盤で3対2となっている(図1)」

――コートジボワールはFWのジェルヴィーニョの動きが目立ちましたね。

「彼は一人で前に行っちゃうんですよね。それで右SBのセルジュ・オリエから彼を狙ったボールが多かった。でも、ベルギーのDFは警戒しているので、ボールが来ても弾かれたり蹴り返されてしまう。そういうシーンが数度起きた。

 ジェルヴィーニョは孤立していたので、分析の中から、彼はそこまで問題はないかなという結論が出てきます。ジェルヴィーニョをヤヤ・トゥーレがサポートすると局面が変わるんですが、ヤヤ・トゥーレが前めで初めてボールを受けられたのが、前半35分になってから。彼にボールが全然入らないので、コートジボワールのパスがベルギーの網にかかってしまっている。それもジェルヴィーニョに向けて放り込むしかない原因ですね」

――組織的に動いて崩すという意図があまり見られないですね。

「コートジボワールは個のレベルが速くて強そうでしたが、中盤が3対2になっていることをあまり感じていない。3人がベルギーの守備的MF2人に封じられていることになる」

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