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試合分析のプロに聞くコートジボワールの弱点。日本はどう攻略すべきか?

text by 浅川俊文 photo by Getty Images

ボールを奪ったら、徹底的に相手SBの裏を狙う。「長友、行け!」と

――では、今回のスカウティングをもとに、日本対コートジボワール戦で林さんならどんな対策を練りますか?

「今の代表なら個の能力も高いので、大きくメンバーを変えることはないですね。監督によっては変える方もいますが。例えば、高さのある選手に対してマークの選手を変えるとか。僕の場合は、やり方さえ変えれば、選手を変えなくても対応できる派なので、まずはトレーニングの中からコートジボワールを想定したポジショニングを身に付けさせる。

 相手SBは上がるとか、中盤が3対2になってもそれほど問題ないので、中盤だけで解決しろとか、トップを走らせるボールが裏へ出るから警戒しろとか。そしてFWにドログバが入ったらくさびのパスが入ってくるので、ボランチの位置を少し変えてパスコースを塞ぎます。そしてボールを奪ったら、徹底的に相手SBの裏を狙う。長友(佑都)に攻めさせる。長友、行け!と(笑)」

――情景が目に浮かびますね(笑)

「メンバーやポジショニングをいじるとすれば、日本の左サイドでしょうか。長友をオーバーラップさせるために、左MFには中に絞って長友を活かすよう指示します。あるいは、裏のスペースをスコーンと突くために、岡崎(慎司)を左サイドに置くという手もある。そうすれば、岡崎がスペースを突けるシーンは5回はあると思います。

 あとは、左SBのボカが上がるので、日本の右MFに守備力のある選手を置くとかですね。ボールを持った時は相手の中盤3人はゾーンディフェンスですから、ここでのパス回しが得意な日本は、何も指示しなくてもどんどん攻められる。それで、サイドから上がって崩していく。そういう試合ができると思いますね」

――あとは相手の選手交代への対応ですね。

「日本がリードすれば、彼らは2トップ気味にしてきたり、本来ならCFのウィルフリード・ボニーを右サイドに入れたりして力技で来る。それも準備しておいたほうがいいですね」

――ベルギーは結局、ロスタイムに追いつかれましたしね。

「日本はドイツW杯の初戦、オーストラリア戦で痛い目を見ていますから、試合の終わらせ方にも注意したいですね」

【了】

プロフィール

林雅人(はやし・まさと)
1977年生まれ。日本体育大学で選手として活躍したのち、2000年からオランダへ渡り、1部リーグのフィテッセでU-11からU-19のコーチ、監督を務めた。日本人初のオランダサッカー協会公認1級ライセンス、ヨーロッパサッカー協会(UEFA)公認A級ライセンスを取得。08年に帰国後、Funrootsサッカースクールコーチ、東京23FCコーチ、浦和レッズ監督通訳を歴任し、現在はFELICEMONDOのテクニカルダイレクターを務める。

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