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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第10回 1部昇格をかけた厳しい戦いの中で見えたこと

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

8月 Club Management

 昇格が決まった東京海上日動戦の同日14時からはサポーターの方、地域の方に集まって頂き、バーベキュー大会を企画していた。

 今から思えばよくそんなタイミングで…と思うが、決めてしまったものはしょうがない。後から振り返ると試合に選ばれている選手が、ウォーミングアップ前にバーベキューに必要な備品の運びだしを朝からしなければならないという状況を作ってしまった。この異常事態でよく結果がついてきてくれたと思うが、こればかりは反省している。

 管理する側の自分がもっと緻密な計画と、準備ができればもう少し選手の負担は減っていくはず。それを今も常に感じながら統括をしている。

 幸い「昇格」という結果がバーベキューをより楽しい雰囲気にしてくれた。集まって頂いた方々には本当に感謝している。まだまだ段取り不足で迷惑をかけてしまったこともあったが、来年はもっとよいものにできればと思っている。

 昇格から2日後、次のミッションはベトナムへの海外出張。タイミング的にもリーグが中断するこの時期しかなく、先方とのやりとりも当然ながらすんなりとはいかない。日本サッカー協会の方にも間に入って頂き、メールで確認に確認を重ね、アポをとりベトナムに乗り込んだ。

 現地での情報はスポンサー企業の方が居られたこともあり非常に助けられた。今回の目的はベトナム中部に位置するダナンという都市にある、SHBダナンというプロサッカーチームとのコネクション作り。

 SHBダナンはベトナムリーグで上位のチームで、チーム間の交流、選手の移籍、ダナン市とのサッカーを通した交流などがその先の目指すところであった。

 先方チームの事務局の方とはメールでやりとりができていたので、到着の翌日に早速会いに行った。

 公用語はベトナム語だが、英語でメールのやりとりができていたので、大丈夫かと思いきや、自分のヒアリング能力はアメリカ時代と比べるとかなり低下していた。たしかに訛りもひどいが、相手のせいにするほどこちらも自信が持てない…。アメリカでプレーしている時もそうであったが、とにかく一生懸命接すること。わからないことは書いてもらうこと。しつこく聞くこと。その3つを武器に進んでいくしかなかった。

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