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「サッカルーズの明るい未来を見通す」。3戦全敗にも指揮官への信頼厚い豪州。視線はすでに自国開催アジア杯へ

text by 植松久隆 photo by Getty Images

前半は善戦も、0-3の完敗を喫したスペイン戦

 先のキューエルのアドバイスが届いたのかどうかは定かではないが、翌日に行われたスペイン戦の前半、サッカルーズは良く走った。攻めては、ボールを左右のサイドに散らしてピッチを広く使い、守っては高い位置からの積極的な出足のプレスでスペインを慌てさせた。

「経験」では圧倒的に劣る新生サッカルーズが、試合の前半を通して世界王者を苦しめた。もう少しで、世界をあっと驚かせることが起きると期待させるような立ち上がりだった。

 しかし、そんな期待感も長くは続かなかった。次第にオーストラリアの動きに慣れてきたスペインは、徐々に格の違いを見せつけにかかる。

 前半を優位に進めながらゴールが遠いサッカルーズを尻目に、確実にチャンスをものにして前半36分に先制。その先制ゴールを挙げたのは、来季Aリーグ(今年10月開幕)のメルボルン・シティでゲスト・プレイヤー枠(10試合の短期契約)としてプレーすることが決まっているダビド・ビジャ。

 デルピエロ、小野が去ったAリーグの来季の顔として期待される彼が、右サイドから上がったボールをトリッキーにヒール(足の裏?)で流し込み、オーストラリアのファンに名刺代わりの一発を見舞った。

 後半に入って、疲れが顕著になってきたサッカルーズとは裏腹にペースを上げたスペインは、後半24分にFWフェルナンド・トーレス、後半37分には途中出場のフアン・マタが追加点を挙げ、サッカルーズを寄せ付けない。

 終わってみれば、0-3。サッカルーズは、前半の頑張り空しく実力の差を見せつけられての完敗となった。

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