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「サッカルーズの明るい未来を見通す」。3戦全敗にも指揮官への信頼厚い豪州。視線はすでに自国開催アジア杯へ

text by 植松久隆 photo by Getty Images

「アンジ、ここからどうやって私たちを導いてくれるというのかい…」

「サッカルーズの明るい未来を見通す」。3戦全敗にも指揮官への信頼厚い豪州。視線はすでに自国開催アジア杯へ
アンジ(・ポスタコグルー)とファンが共に抱いた「W杯で強豪をあっと言わせる」という夢は叶わずに消えた【写真:Getty Images】

 オーストラリアのメディアで珍しく一日中サッカルーズが話題に上がったスペイン戦の当日。その長い一日の終りに、先日の日本戦を「ゴジラ対ギリシャの神々」と喩えたコメディアンが、サッカルーズのスペイン戦がどう語るのかが気になって、夜のW杯期間限定コメディ「the Full Brazilian」を待った。

 残念ながら、待った甲斐なく、今晩はくだんのコメディアンは特に気の利いたことを何も言わなかったが、その代わりに一つ大いに興味を惹かれるものに出会った。番組の最後で某ミュージシャンが弾き語りで披露したローリング・ストーンズの名曲「Angie(邦題・悲しみのアンジー)」の替え歌。

「僕らがともに抱いた夢は、本当に近いものだったよね。それも全部、消え去ってしまったよ。君の耳にそっと囁かせてくれ、アンジ(Ange監督のファーストネーム)、アンジ、ここからどうやって私たちを導いてくれるというのかい…」

 この日の敗戦で、アンジ(・ポスタコグルー)とファンが共に抱いた「W杯で強豪をあっと言わせる」という夢は叶わずに消えた。

 それでも、オーストラリアのサッカーファンは、ポスタコグルーが今後、新生サッカルーズをどのように導いてくれるかを期待しつつ見守っている?そんな、当地のファンの有り様をはっきりと捉えた意味深長な替え歌には唸らされた。

 オーストラリアのW杯は終わった。しかし、ポスタコグルーとサッカルーズの挑戦は始まったばかり。自国と世界、彼我の絶対的な差を認識したポスタコグルーが、次に狙いを定めるのは、来年1月の自国開催のアジア・カップだ。

 ケーヒル、ブレシアーノといったベテランも、キャリアの集大成として「アジア王者」を本気で狙ってくる。

 W杯が終わってもいないのに、次を語るのはいささか時宜を得ないのかもしれないが、ポスタコグルーという監督ならば、すでに切り替えて次なる目標をしっかり見据えていたとしても、さほど驚きはしない。

【了】

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