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ポゼッションの旗手はスペインからドイツへ。ボール支配率50%も、フランス相手に示した確かなスタイル

W杯ベスト8でフランスを1-0で下したドイツ。ラームを本職の右サイドバックに戻したことで、攻守に活性化したようだ。そして、ポゼッション・スタイルも本領発揮。いまや、ポゼッションの旗手はスペインではなくドイツにあると言える。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

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 ポゼッション・スタイルは本当に死んでしまったのだろうか。

 2014年7月4日、ドイツ代表はリオデジャネイロの地でフランス代表と準々決勝を戦った。

ポゼッションの旗手はスペインからドイツへ。ボール支配率50%も、フランス相手に示した確かなスタイル
ドイツメディアが連日騒いだラームのポジションを巡る議論は、ひとまず終止符を打たれることになりそうだ【写真:Getty Images】

 スターティング・メンバーは、GKノイアー、右SBラーム、CBはボアテングとフンメルス、左SBヘーヴェデス、ケディラ、シュバインシュタイガー、クロースのトリプルボランチに、左にミュラーと右にエジルの両翼、そしてワントップにクローゼである。

 ドイツメディアが連日騒いだラームのポジションを巡る議論は、ひとまず終止符を打たれることになりそうだ。これまでボランチのポジションで先発し続けたラームだが、対フランス戦では右SBでのスタートとなった。

 これによってSBのスペシャリストが不在であることから生じる問題をクリアすることができるだけでなく、ケディラとシュバインシュタイガーが揃ってピッチに立つこともできる。バイエルンでのアラバやラフィーニャのいないドイツ代表では、ラームを他に置いてSBとしてチーム全体にバランスをもたらすことができる存在はいないのである。

 そして対フランス戦のゲーム全体を通して、ラームによってドイツ代表の右サイドは息を吹き返した。ラームは、ボールを前へと運ぶ推進力や、ボールを引き受けてのビルドアップの能力といったところで、SBのスペシャリストとしての姿を示し続ける。

 これまで同ポジションを務めていたボアテングとは、雲泥の差があった。もちろんボアテングの能力が劣っている訳ではない。専門性の違い、ただそれだけである。

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