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W杯ベスト4にプレミア選手19人。母国が敗退も観戦意欲残るイングランド。贔屓クラブの選手がプレーする「気になる異国代表」

text by 山中忍 photo by Getty Images

ユナイテッドのエースと新監督を擁するオランダ。「準プレミア代表」のベルギー

 だが、その後もパブやバーの店内からブラジル国旗が消えてはいないように、国民の意識はW杯に向いたまま。

 決勝トーナメント1回戦では最も地味な顔合わせのコスタリカ対ギリシャでさえ、ピッチに立ったブライアン・ルイス、ゲオルギオス・カラグニス、コンスタンティノス・ミトログルの姿を見たフルアム・ファンは、大会16強メンバーが戦力とならずに降格した今季を振り返らずにはいられなかっただろう。

 逆にアーセナルのファンは、コスタリカの前線を駆けるジョエル・キャンベルの姿を見て、レンタル先のオリンピアコスから戻る来期への期待を高めたに違いない。

 そのコスタリカと準々決勝で対戦したオランダは、マンチェスター・ユナイテッドのロビン・ファン・ペルシーからノリッジのレロイ・フェルまで、今季プレミア組6選手を抱える。指揮官はルイス・ファン・ハール。エースと新監督を擁するチームには、ユナイテッドファンも成功を祈らずにはいられない。

 フランス代表で活躍したポール・ポグバ獲得をチェルシーと争う決意や、ベルギー代表でも精彩を欠くマルアン・フェライニ放出の意向など、ブラジルからは新監督のチーム構想も聞こえてくる。

 ベルギーがアメリカを下した16強対決は、中立的な立場でも手に汗握る好ゲームだった。だが、これも「チェルシー配下のロメル・ルカクと元チェルシーのケビン・デ・ブライネのゴール」が勝利をもたらし、「エバートンのティム・ハワードが敗軍ながらもマン・オブ・ザ・マッチ」と報じられる親近感。

 アメリカ戦メンバーのうち12名がプレミア所属のベルギー代表は、「準プレミア代表」のようなものだ。もっとも、ベルギー戦翌朝の各紙スポーツ第1面には、アルゼンチン対スイスで決勝ゴールを演出したリオネル・メッシ。

 ロンドンでのウィンブルドン大会では、ランク1位のラファエル・ナダルが早期敗退という波乱もあった翌日に、スーパースターとはいえプレミア縁ではないアルゼンチン代表の個人技が別格の扱いを受けるあたりは、「サッカー好きの国」ならではかもしれない。

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