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岡野俊一郎と金子勝彦が語る日本サッカー(その3)TV中継に何が必要で、何が欠けているのか?

text by 藤江直人 photo by Getty Images , editorial staff

ブラジル大会で解説が最も上手いのは岡田武史

岡野俊一郎と金子勝彦が語る日本サッカー(その3)TV中継に何が必要で、何が欠けているのか?
元日本代表監督である岡田武史氏【写真:Getty Images】

岡野 放送が増えたということは、新しい視聴者が必ず生まれているはずなんです。そういう人たちに、次も見ようと思わせるような魅力のあるものをオンエアしていかないと。今回のW杯でもさまざまな解説者が日本の試合に登場していましたけれども、一番上手かったのは岡田武史ですね。

 Jリーグも20年を超えて、中継数に比例するように解説者の数も増えてきた。各々に個性があり、語り上手な人も多い。その中でも岡田は圧巻だった。監督の心情やチームの雰囲気といった点を実に的確に解説していた。W杯のベスト16を戦った監督のものの見方の素晴らしさと言えばいいのか。本質的な部分を勉強して、経験を積むことで、成果というものが出てくる。

金子 韓国の洪明甫監督の心中に触れた言葉には、思わず胸を熱くさせられました。日本対コロンビアと同時間帯で行われていた、ギリシャ対コートジボワールの解説も素晴らしかったと思います。

岡野 僕が初めてサッカーの解説を務めたのが1960年11月28日、国立競技場で行われた日本とユーゴスラビアの国際親善試合でした。当時はW杯・チリ大会の予選が変則で、ユーゴスラビアはソウルで韓国と対戦していて、デットマール・クラマーが頼み込んでその帰路に来日しもらった経緯があった。そのクラマーから試合前にもらったアドバイスは、いまでも僕の解説における至言なんですよ。「センテンスは短く、しゃべりはチャーミングに」と。

金子 チャーミングという言葉は、非常に素敵ですね(笑)。

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