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Jリーグ 10年前

攻撃陣好調もかつてとは違うスタイル。一時は降格圏のガンバ、宇佐美の復帰だけでないV字回復の理由

text by 下薗昌記 photo by Asuka Kudo / Football Channel

攻撃に厚みをもたらしたパトリックの存在

 そんな背番号39に追い風となったのが新戦力として7月に獲得されたパトリックの存在である。「チームの課題は明らかにフィニッシュ。攻撃の形を作るところまでは行けている」。中断期間を迎えた直後、指揮官は脆弱な前線に対する補強の必要性を口にしていたが、Jリーグ経験者の中から白羽の矢を立てたのが川崎フロンターレとヴァンフォーレ甲府でプレー経験がある長身FWだった。

 足下の技術はさほど上手くないが「ガンバに足りない奥行きを作れる選手」と宇佐美が評した背番号29は初先発の清水戦で起点となったり、サイドに流れたりと早くも機能。右サイドに流れて、相手の左サイドバックをパトリックに釘付けにすることで、恩恵を受けているのがセカンドラインの阿部浩之。得意のカットインや、ランを活かしたプレーで2試合連続でゴールを決めているのは決して偶然の産物ではないのである。

 しかしながら、そんな前線の新たな化学反応がもたらした攻撃の凄みは、西野朗元監督当時からしばしば披露してきたもの――。Jリーグをご覧の方にとっては、新味のあるものではないだろう。

 一方で、現在の3連勝には長谷川ガンバが昨年以降、積み上げてきた真骨頂も確かに顔を覗かせている。それは、妥協のない守備意識の高さである。5対1で圧勝したヴィッセル神戸戦後、長谷川監督は「攻撃陣もアグレッシブに点を取ってくれたが、今日は守備陣がよく踏ん張ってくれた」。3試合でPKによるわずか1失点に封じている守備陣の奮闘に、「攻撃は水物」という長谷川イズムが現れている。

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