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Jリーグ 10年前

攻撃陣好調もかつてとは違うスタイル。一時は降格圏のガンバ、宇佐美の復帰だけでないV字回復の理由

text by 下薗昌記 photo by Asuka Kudo / Football Channel

成果が出てきている長谷川イズム

 前半から快調にゴールを積み重ね、5対1のゴールショーを見せたが、チームはオフ明けの練習で恒例となった前節を振り返る映像ミーティングを実施。「試合終了間際でも前から守備に行けていた」と西野がチーム全体の守備意識を賞賛したように、今のガンバ大阪はもはや「取られたら、取りかえす」をチームポリシーとしていない。

 西野元監督時代には先行されて目を覚ましたり、大量得点時には集中を欠いたようなプレーから失点したりすることは決して珍しくなかったが、守備に関して妥協を許さない指揮官のもと、チームは手堅い戦いも志向している。

 ヴィッセル神戸戦を終えた後、チームキャプテンの遠藤保仁が「4点差がつけば、試合の大勢はほぼ決まっているがそれでも最後まで集中して戦えた」と胸を張れば、副キャプテンで途中投入された倉田も「前半の終わりとか後半の始めに失点すると流れが悪くなる。今日はまず守備から入った」と語る。

 もちろん、意識だけで結果が出るほどプロの世界は甘くない。ガンバ大阪の堅守を支えるのはリオデジャネイロ五輪を目指す西野の確かな成長と、W杯前には見せることがなかった遠藤と今野泰幸の両ボランチの守備面の安定感は、秀逸だ。

 開幕当初は、宇佐美というピースを欠いたことで、毎節のように理想の布陣を模索。連携面でも遅れをとった大阪の雄だが、遅まきながら攻守の歯車は噛み合い始めてきた。

「少し上位をにらむ余裕は出てきたが、あくまでも1試合ずつ全力で戦うだけ」と指揮官は、どこまでも慎重だがかつて「攻めダルマ」として知られた大阪の雄は「取られずに、取る」という新たな顔を見せつつある。

【了】

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