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日本代表 10年前

スラング多用、スター選手の重用なし、明確なメディア対応。スペイン在住記者が迫るアギーレ監督の実像

text by 山本美智子 photo by Rafa Huerta , Asuka Kudo / Football Channel

スラングの多用と家族思いの一面

 1950年代に一斉を風靡したメキシコのコメディアン俳優カンティンフラスのように、彼の声音でスラングを吐かれても、なんだかユーモラスに聞こえてしまう。実際、何度退場させられても、記者会見になればけろっとして、「口が悪いのは勘弁してもらって」などと言い訳しながら、また同じことを繰り返すのも、ご愛嬌だ。

 彼には俗語を使って選手を鼓舞したりする部分があり、それはサッカー界では珍しいことでもない。言葉に関する知識があれば、その使用法に悪気がないのもわかるのだが、余りにもスラング使いとして評判が定着してしまったために、本来の意味で使用していなくても、主審に目を付けられるようになってしまった、というのが実際のところだろう。

 日本サッカー協会が最初にアギーレとコンタクトをとったのは、メキシコ代表監督として務めていた時らしい。つまり、今から5年前になる。その当時、アギーレ監督は日本からのオファーには興味を示さず、スペインに渡った。家族のことを考えての決断だった。

 彼は非常に家族思いでも知られている。どこに行くにも、妻のシルビアさんを連れている。子供達も成長した今、スペインを離れる可能性も考慮に入れられるようになり、そのタイミングで再び、日本代表からオファーがあったという経緯のようだ。日本について、セレッソ大阪に移籍したフォルランにも話を聞くなど、積極的に情報収集を行っている。

 日本代表でどのようにプレーするのかも興味深い。スペインリーグでクラブチームを率いていたアギーレのプレーシステムの基盤は、守備的な4-4-2だったが、メキシコ代表を率いていた時は、「4-3-3の布陣を導入しようとした」ことを本人が明らかにしているからだ。

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