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55.3%が“No”。国民を分断したスコットランド独立問題。英国人記者が示した見解、そしてサッカーに及ぼす影響とは

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

国内の2強、レンジャーズとセルティックのファンも関心

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レンジャーズはスコットランドの伝統的なクラブのひとつ【写真:Getty Images】

 互いに伝統的なクラブとして、セルティックがアイルランドと繋がりがあるのに対して、レンジャーズのファンにとって、クラブのアイデンティティはグレートブリテンのそれと密接に結びついている。(彼らのユニホームが赤く、白く、青いのは偶然ではない)

  強烈かつ、ときに暴力的なライバル関係にある両者は、スタジアム内に“Vote No”(イギリスの一部として残す)や“Vote Yes”(独立するべき)といったバナーを掲げたが、手に負えなくなるような状況に陥ったという報告は無かった。

 これについて、ジャパン・タイムズ紙のサッカーライター、アンドリュー・マッカーディー氏は「国民の興味深い一面だった」と語っている。

 さらに、「重要なのは、彼らの議論が成熟したものであったことだ」と、マッカーディー氏は熱弁した。

「普段は全く政治に興味の無い人々がホワイトペーパーを読み、長所と短所を議論していた」

 それは、“Yes”か“No”かの結果に関わらず、国が国民投票を行った理由の一部でもある。そして、マッカーディー氏の意見では、スコットランドは既に独自のアイデンティティを持っているという。特にサッカーに関しては。

「スコットランドの独立が他国と違う点は、サッカーに関しては既に独立しているという点だ。イギリスから完全に切り離された独自の代表チームとリーグを有している。

 サッカーにおいて、国家の独立は国同士のプライドが大きな波となってぶつかり合う。クロアチアのようにね。しかし、既にスコットランドには独自の代表チームがあるので、そういった事態にはならないだろう」

 これは、たとえスコットランドが“Yes”を選んでいたとしても、国内の試合に大きな影響を及ばさないことを意味している。しかし、スコットランドが独立した場合に欧州連合(EU)への加盟が困難だったならば、若干の問題は解決する必要があっただろう。

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