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擁護派多い現実が物語る“レアルの象徴”の弱体化。“聖域”カシージャスが迎えるかつてない試練の時

text by 山本美智子 photo by Rafa Huerta

本人はクラブと代表の両立望む。周囲からはより一層厳しい視線

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カシージャスは、かつてない試練の時を迎えている【写真:Rafa Huerta】

 同年代のチャビ・エルナンデス(FCバルセロナ)などと異なり、カシージャスはスペイン代表引退を表明しておらず、デル・ボスケ監督も引き続きカシージャスを召集している。

 個人的には、選手の年齢にはかなり個人差があると感じている。30を過ぎたから、と単純な線引きをすることには抵抗があるが、カシージャのように控え慣れしていないレベルの選手が、30歳から32歳という大事な時期にスタメンをはらずに過ごしたのはやはり、キャリアにおいて響いているのではないかと思う。

 スポーツ選手にとって、年齢を重ねるということは、才能だけではカバーできないことを努力でカバーすること余儀なくされることなのだ。

 まだ代表でもやり残したことがあるし、代表とクラブでトップレベルをキープしながら両立できる、と本人が感じているからこその決断なのだろうが、周囲から注がれる視線は厳しい。

 自らが描く自画像と実像がかけ離れている、ということにならないためにも、カシージャスにとって今季は、新たな正念場になる。控えに甘んじるのはプライドが許さないし、引退するには早過ぎる。当然、第一線で落ちぶれていく様子など見たくない。

 最高レベルで戦い、「さすが!」と周囲を納得させる安定したプレーを、果たしてカシージャスは取り戻すことができるのか。10年以上もトップでのプレーを提供していても、過去は役に立たない。

 評価されるのは、今現在の結果だけなのだ。今季、ゴールマウスを守りきれるのか。カシージャスは、かつてない試練の時を迎えている。

【了】

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