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香川真司 10年前

「他の選手の動き出しが早くなる」。ダービー敗戦もチームの軸となった香川、内田も認める仲間からの信頼度

text by 本田千尋 photo by Getty Images

香川投入後、攻撃に鋭さが増したドルトムント

 そして54分、香川がベンチの前で途中出場への準備を進めていることに気が付くと、ドルトムントのファンが詰まったアウェイ席の一角では歌声が上がった。

「カーガーワ、シンジー、カーガーワ、シンジー」

 香川はインモービレに変わって57 分から途中出場する。すると早速58分には、内田の言う「他の回りの選手の動き出しが早くなる」シーンが見られた。

 香川はセンターサークル付近でフンメルスからの縦パスを受けると、右サイドを駆け上がるピシュチェクへボールを送る。そのまま香川も全速力で走り続け、ボックスの手前でピシュチェクから再びボールを受けようとする。

 トラップが上手くいかなかったこともあって、ノイシュテッターにカットされてしまったが、まさに「アイツからボール出てくるのはみんな分かっている」、とりわけピシュチェクとの間で、香川が「信頼されている」ことが良く分かる場面だった。

 前半戦を通して方向性の見えない闘いを見せたチームは、一つ香川という軸が入ることでしっかりし、攻撃が活性化した。オバメヤンから、69分にはボックスの手前で、73分には左サイドでボールを受けるなど、香川の周囲との連係も増してきているようだ。

 83分にはベンダーからの縦パスを受けると、ワントラップでアイハンを交わしてターンする。ドリブルで中央を突き進み、ラモスへラストパスを送る。しかしこれをラモスは決めることが出来なかった。

 香川が入ることによって、ドルトムントは前半よりも攻撃に鋭さが増した。しかし結局のところチームが勝てなかったのも事実である。今季より新たなキャプテンマークを巻くフンメルスと香川が、共に90分間フルに出場出来るようになった時、勝利への可能性はまた変わってくるだろう。

【了】

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