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日本代表 10年前

「キレイなサッカーだけじゃ勝てない」。韓国戦で力の差を痛感した鈴木武蔵。「アグレッシブに戦う意識を持たないと」

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「ジンスはすごく安定していた。自分の方はまだダメかな」

 その韓国はかつてFC東京でプレーしていたチャン・ヒョンスがDF陣を統率。左サイドバックには今季途中まで同僚だったキム・ジンス(ホッフェンハイム)が陣取った。

 鈴木にとってはまさに申し分ない相手だ。日本は序盤こそ彼のところでタメを作って攻めを組み立てていたが、前半10分過ぎから相手の迫力に押され、自陣に追いつめられていく。1トップの鈴木も孤立する場面が目立ち、ほとんどボールが入らなかった。

 後半に入るとその流れは加速し、日本は防戦一方となる。そこで手倉森誠監督が荒野拓馬(札幌)を投入。前線を2トップにしたことで、鈴木自身も活路を見出せそうな予感を覚えたという。

 しかし矢島慎也(浦和)が足をつって交代を強いられ、システムが4-3-3に戻ると元の木阿弥になってしまう。結局。彼は後半ロスタイムに金森健志(福岡)と交代。自身の試金石と位置づけた日韓戦では仕事らしい仕事ができないままだった。

「自分たちとしては前半の立ち上がりの方がうまくボールを回せていた。でもだんだん相手の攻めに迫力が出てきて、その勢いを自分もチームとしても怖がっていたところはありますね。

 あれだけ勢いのある2センターバック(チャン・ヒョンスとキム・ミンヒョク=鳥栖)を1人で抑えきるのは難しいし、もう1人FWがいて近くでサポートし合えたらいいなと思った。

 そこで拓馬が入ってきて行けるかなと思ったら、慎也の足がつってプランが変わってしまった。僕としてはもう少し長く2トップでやりたかったですね。

 ジンスとも久々にプレーしたけど、以前からの攻撃力に加えて守備も裏を取られることもがなくてすごく安定していた。だけど自分の方はまだダメかなと。あれだけ勢いのある韓国に『気持ちだけじゃダメだ』って思わせるくらいにならないといけなかった」

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