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日本代表 10年前

韓国との力の差は歴然だった手倉森ジャパン。中盤の厚み、攻守の切り替えで後手。実戦経験の必要性を痛感

text by 河治良幸 photo by Getty Images

中盤の主導権争いで後手。チャンスの数に大差

 主導権争いの要素として最も差が出たのは中盤の厚みで、日本は4-2-3-1の2と3の部分が離れ気味で遠藤航と大島僚太の2ボランチが独立していたのに対し、韓国は4-2-3-1でも実質4-5-1であり、守備で高い位置を取りすぎることなく2-3が常に一体となりながら、日本の中盤にプレッシャーをかけてきていた。

 こうした中盤が有利ではない状況では、ボランチが無理に前方の出しどころを探さず、CBの岩波拓也と植田直通をうまく使いながら、SBに展開するなどワイドに広げて、リターンパスから中央を使っていくなど相手に揺さぶりをかけることが重要だ。

 しかし、選手たちにそうした余裕は感じられず、韓国の守備の密度が高いところに入っていってしまい、数的不利やトラップ際に体を付けられる場面が増えた。

 SBも常に縦を切られた状況でパスを引き出せていなかったが、左の秋野央樹がDFラインの高さでパスを受け、韓国を同サイドに引っ張りだして逆サイドのスペースに展開して行く様な形で韓国のディフェンスに後手を踏ませることもできなかった。

 結局、日本のチャンスができたのは前線の鈴木武蔵にやや強引なクサビがおさまった時、そしてセカンドボールから2列目の3人、特にトップ下の中島翔哉が前を向いてボールを持てた時だった。

 しかし、コンタクトプレーやセカンドボールは韓国の方が多くものにしているのだから、チャンスの数に大きな差が出るのは当然だ。

 ある意味、日本は韓国の得意なパターンに乗ってしまたのだが、それをいなして自分たちのペースに持ち込むしたたかさも、あえて相手の懐に入って打ち破る力も無く、試合の主導権を奪われてしまった。また攻守の切り替わりの違いも日本の戦局を不利にした。

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