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日本代表 10年前

「しぶとく泥臭く守る覚悟」を植えつけるも、直面した宿敵・韓国の壁。五輪予選へ問われる手倉森監督の手腕

text by 元川悦子 photo by Getty Images

4万人超の大観衆。完全アウェーで防戦一方に

「しぶとく泥臭く守る覚悟」を植えつけるも、直面した宿敵・韓国の壁。五輪予選へ問われる手倉森監督の手腕
矢島慎也が思い切ったシュートを放つなど、ゴールへの強い意気込みを感じさせた【写真:Getty Images】

「このチームの今年のテーマは『柔軟性』と『割り切り』。それが一番問われるゲームになる。韓国は個の力があるし、1人1人がパワーを出さないといけないと思って挑んでくる。

 前にボールを入れて2列目が勢いをもってそれを拾って攻めてくるし、クロスからの攻撃も多い。そこに対して我々はどう割り切って戦うか。ただ、彼らの力の出し方は直線的なんで、それをうまくいなす柔軟性も示したいところだね。

 大会を通してシステムやメンバーをいじりながら戦ってきたけど、選手たちの理解力は物凄く上がってきた。オマーンの頃とは全然違う。

 そういうメンバーを選べるのが、ベガルタ仙台でやっていた頃との違い。バリエーションも広がってきたし、チームのさらなる可能性も感じているよ」と決戦前日の手倉森監督は自身の韓国とのエピソードを交えながら、宿敵撃破の手ごたえを口にしていた。

 迎えた28日の文鶴競技場での本番。予想通り、4万3000人を超える大観衆の中、指揮官は4-2-3-1の布陣で戦った。立ち上がりは日本らしいパス回しが出て、矢島慎也(浦和)が思い切ったシュートを放つなど、ゴールへの強い意気込みを感じさせた。

 しかし10分を過ぎたあたりからロングボールやクロスを多用する韓国が一気に攻め込んできて日本は防戦一方となる。後半に入るとその傾向に拍車がかかり、相手に次々と決定機を作られた。

 手倉森監督は原川力(愛媛)を入れて中盤を落ち着かせる策を採ると見られたが、最初に切ったカードは荒野拓馬(札幌)。「点を取りに行く」という指揮官の意思表明だった。

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