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Jリーグ 10年前

頑固なまでにクソ真面目。「サッカー馬鹿一代」大分指揮官・田坂和昭の美学

text by ひぐらしひなつ photo by Getty Images

昨季のリベンジへ。周到な準備は始まっている

頑固なまでにクソ真面目。「サッカー馬鹿一代」大分指揮官・田坂和昭の美学
「まだチーム内に温度差がある」と分析する田坂監督が、どう手綱をさばいていくか【写真:Getty Images】

 波に乗りきれないまま終盤まで来たという印象もある。好ゲームの次節にはコケる。下位チームとの試合にも勝ち切れず、かろうじて勝ち点1をもぎ取る有様だ。ただ、昇格を争うライバルチームたちもここに来て足踏みしがちで、そんな悪運の強さも大分に味方している。

「悪い時期もあったが、引き分けを挟んだりしながら、連敗は一度しかないので、下を向かずにやってこれた。しんどくても前を向けている」と高木は言う。一時の勢いではなくコンスタントに勝ち点を積みあげてこられたのは、決して悪い傾向ではない。

 昇格争いの大詰めには、メンタルの強度が多く影響を及ぼす。「まだチーム内に温度差がある」と分析する田坂監督が、どう手綱をさばいていくか。ここ数試合は2012年の終盤同様、2列目に運動量豊富な職人タイプの選手を起用しており、それが奏功している点にも注目だ。一方で、ここまでは地道に組織を育ててきた指揮官が、最近は「駆け引き」だとか「バクチ」だとかいった勝負師らしい言葉を口にすることも増えた。

 昨季のリベンジへ向け、まだ可能性の残る自動昇格に向けてラストスパートを仕掛ける準備は出来ている。リーグ戦とはレギュレーションの異なるプレーオフに回ったなら、一昨年のような大胆かつ周到な大勝負を見せてくれるかもしれない。

 なにはともあれ、6位以内を死守することが前提だ。混戦の結末は、まだ見えない。

【了】

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